ホーム > アート・トーク > 遠野の語りを聴く〜言葉がつなぐ古と未来

アート・トーク

遠野の語りを聴く〜言葉がつなぐ古と未来

工藤さのみさんをお迎えして「遠野の語り」をお聞きしました。

 

遠野の語りは、昔から遠野の地域に伝わってきたお話です。

今から101年前、その話を聞いて本にしたのが、柳田國男の「遠野物語」だといわれています。つまり、101年よりもっと前の事を語り継いできているということです。

 

「むか〜す、あったずもな」とお話がはじまりまして、「どこそこに、じさま(おじいさん)とばさま(おばあさん)がおったったとさ〜」と続くのです。そして良いおばあさんは救われ、悪いおばあさんは鬼に痛めつけられたりするのです。まさに昔毎週テレビでもやっていた「日本昔話」ではありませんか!

 

小林玲子さんの言葉を借りれば、「遠野の語りには日本人が昔は持っていたであろう「畏敬の念」が詰まっていて、今改めてその気持ちを忘れていたことに気がつきました。」とのこと。

 

そういえば子供の頃は、暗い所や、おばけを怖がったり、夜トイレに行くことにもびくびくしていたように思います。それが今では、お化けなんている訳がないし、むしろ暗くしないと眠れない、そもそも外灯が明るすぎるのが問題なのよね。という味もそっけもない大人になってしまった。それと比べると、子供の頃は、日本昔話にでてくるような霊や自然と一体になって過ごしていたのではないかと思いました。

 

語っていただいたのは、「ものはほどほどに」「蔵ボッコ(蔵の座敷ワラシ)」「カッパ」「せやみ(なまけもの)」など遠野のお話なのですが、聞いたことのあるような懐かしい気分になるお話。「津波」「おしらさま(東北地方で信仰されている家の神)」などは東北地方独特のお話。最後にアンコールで語っていただいた「母の目玉」というお話は、怖くて悲しいけれど家族の愛にあふれた暖かいお話でした。

 

日本昔話と遠野の語りの違いが何かといえば、独特のなまりに代表される地方色でしょうか。そしてずっと語り継がれてきたし、これからも語り継がれていくだろうということ。遠野では小学校を卒業するまでに少なくとも1話、1年生から6年生まで1年に1話覚えるという小学校もあるそうです。工藤さんはそんな遠野で「いろり火の会」という組織を作って、日々語っていらっしゃるそうです。本当は、今までもこれからも座敷ワラシならぬ遠野ワラシが「遠野の語り」を守ってくれているのかもしれません。

 

遠野の語りを聞いていると、とても大きい、ゆっくりした波の中に漂っているような不思議な気分がしてきました。そして最後に「どんとはれ」と言っておはなしがおしまいになりますが、全部話しましたよという意味がある「どんとはれ」と聞くと、懐かしい気持ちと、少し寂しいような気持ちになるのでした。



 

日時:2011、7、23
場所:西方寺、カネマツ
ゲスト:工藤さのみ 小林玲子(歴史の町長野を紡ぐ会代表)さん

西方寺では語りの最中、ひぐらしが鳴いていました。 西方寺では語りの最中、ひぐらしが鳴いていました。

カネマツでの語りの様子。満席です。 カネマツでの語りの様子。満席です。

対談中の工藤さんと小林さん 対談中の工藤さんと小林さん

次回のアート・トーク

アート・トーク Vol.22

善光寺表参道ギャラリーライン
アートトーク2012
煎茶ワークショップ
〜煎茶の楽しみ・焙茶〜

日時:2月11日(月・祝) 14時〜
場所:ガレリア表参道
〒380-0832長野市東後町21番地グランドハイツ表 参道弐番館B1F
ゲスト:花岡 泉(煎茶道東阿部流 土田翠遊社中)

煎茶道の開祖は、江戸時代初期に禅宗の一つである黄檗宗を開いた隠元隆琦とされています。

この頃、煎茶自体が当時最新の中国文化であったことなどから、形式にとらわれずに煎茶を飲みながら清談を交わす、いわゆる「煎茶趣味」が文人の間で急速に広まりました。

使う茶葉には玉露・ 煎茶・番茶と種類があります。

今回は、寒い季節に喜ばれる焙茶点前をご紹介します。

涼炉の火で茶葉を炒るとたちまち芳しい香りが室内に広がります。是非味わってみて下さい。


お茶とお菓子がついて、参加費500円です。(20名、要予約)

善光寺表参道ギャラリーライン<br>アートトーク2012<br>煎茶ワークショップ<br>〜煎茶の楽しみ・焙茶〜